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- ASSEMBLER MANUAL -
==============================================================================
・レジスタ
01234-6-- d0~d7 データレジスタ
01234-6-- a0~a7 アドレスレジスタ
01234-6-- sp スタックポインタ(a7 の別名)
01234-6-- usp ユーザースタックポインタ
01234-6-- pc プログラムカウンタ
01234-6-- sr ステータスレジスタ
01234-6-- ccr コンディションコードレジスタ
01234-6-- opc オプショナル PC(擬似レジスタ)
--234-6-- zd0~zd7 データレジスタ省略
--234-6-- za0~za7 アドレスレジスタ省略
--234-6-- zsp スタックポインタ省略(za7 の別名)
--234-6-- zpc プログラムカウンタ省略
-1234-6-- sfc ソースファンクションコード
-1234-6-- dfc ディスティネーションファンクションコード
-1234-6-- vbr ベクタベースレジスタ
--234---- msp マスタスタックポインタ
--234---- isp 割り込みスタックポインタ
--234-6-- cacr キャッシュコントロールレジスタ
--23----- caar キャッシュアドレスレジスタ
------6-- buscr バスコントロールレジスタ
------6-- pcr プロセッサコンフィグレーションレジスタ
---3----m crp CPU ルートポインタ
---346--m srp スーパーバイザルートポインタ
---346--m tc 変換制御レジスタ
---3----- tt0~tt1 透過変換レジスタ
---34---m mmusr MMU ステータスレジスタ(※1)
---34---m psr PMMU ステータスレジスタ(※1)
----4-6-- urp ユーザルートポインタ
----4-6-- itt0~itt1 透過変換レジスタ(命令)
----4-6-- dtt0~dtt1 透過変換レジスタ(データ)
----4-6-- nc キャッシュ無指定(CINV/CPUSH 命令で使用)
----4-6-- dc データキャッシュ(CINV/CPUSH 命令で使用)
----4-6-- ic 命令キャッシュ(CINV/CPUSH 命令で使用)
----4-6-- bc データ/命令キャッシュ(CINV/CPUSH 命令で使用)
--------m drp DMA ルートポインタ
--------m cal カレントアクセスレベル
--------m val 有効アクセスレベル
--------m scc スタック変更制御
--------m ac アクセス制御レジスタ
--------m pcsr PMMU キャッシュステータスレジスタ
--------m bad0~bad7 ブレークポイントアクノリッジデータレジスタ
--------m bac0~bac7 ブレークポイントアクノリッジ制御レジスタ
----4-6f- fp0~fp7 浮動小数点データレジスタ
----4-6f- fpcr 浮動小数点コントロールレジスタ
----4-6f- fpsr 浮動小数点ステータスレジスタ
----4-6f- fpiar 浮動小数点命令アドレスレジスタ
01234-6-- r0~r7, r8~r15 d0~d7, a0~a7 の別名
--234-6-- zr0~zr7, zr8~zr15 zd0~zd7, za0~za7 の別名
01234-6fm
||||| ||+- m = 68020 + 68851(PMMU)
||||| |+-- f = 68020/68030 + 68881/68882(FPU)
||||| +--- 6 = 68060 (内蔵 MMU/FPU を含む)
||||+----- 4 = 68040 (内蔵 MMU/FPU を含む)
|||+------ 3 = 68030 (内蔵 MMU を含む)
||+------- 2 = 68020
|+-------- 1 = 68010
+--------- 0 = 68000
レジスタ名の大文字小文字は区別されない。
※1 厳密には mmusr は68030/68040オンチップ MMU 専用レジスタ、psr は68851(PMMU)
専用レジスタだが、アセンブラでは同じものとして扱われる。
==============================================================================
・整数リテラル
接頭辞
$ 16進数(0~9、a~f、A-F)
0x 16進数(0~9、a~f、A-F)
@ 8進数(0~7)
0o 8進数(0~7)
% 2進数(0~1)
0b 2進数(0~1)
なし 10進数(0~9)
数字のセパレータとして '_' を使える。
・浮動小数点リテラル
符号は '+'、'-'、または省略('+' として扱われる)。
なお、浮動小数点数を整数に変換した場合は小数点以下切り捨てとなる。
少数点表記
整数部 + '.' + 小数部
'.' + 小数部
小数点と小数部を省略して整数部のみを記述すると、小数点表記ではなく単精度の
内部表現(整数形式)として扱われるので注意すること。
指数表記
仮数部(整数部 ) + 'e' + 符号 + 指数部
仮数部(整数部 + '.' ) + 'e' + 符号 + 指数部
仮数部(整数部 + '.' + 小数部) + 'e' + 符号 + 指数部
仮数部( '.' + 小数部) + 'e' + 符号 + 指数部
指数記号 'e' は大文字の 'E' でもよい。
整数部、小数部、指数部は0~9の数字が使える。
接頭辞(0f)表記
'0f' + 符号 + 小数点表記
'0f' + 符号 + 指数表記
'0f' + 符号 + 10進数の整数
内部表現(接頭辞(!))
接頭辞 '!' からはじまる規定桁数の16進数。セパレータとして '_' を使える。
単精度は8桁、倍精度は16桁、拡張精度とパックドデシマルは24桁。
例: fmove.d #!40510000_00000000,fp0
内部表現(整数形式)
ロングワード値の整数リテラルを既定の数だけ ',' でつなげて並べる。
単精度は1個、倍精度は2個、拡張精度とパックドデシマルは3個。
例: fmove.d #$40510000,0,fp0
==============================================================================
・単項演算子
+ .pos. そのままの値
- .neg. 符号反転
.not. ビット単位 NOT
.notb. ビット単位 NOT の下位ワードの下位バイト
.notw. ビット単位 NOT の下位ワード
.high. ロングワード値の下位ワードの上位バイト
.low. ロングワード値の下位ワードの下位バイト
.highw. ロングワード値の上位ワード
.loww. ロングワード値の下位ワード
.nul. 常に0
.sizeof.() レジスタリストまたは文字列の占有バイト数
d0-d7/a0-a7 レジスタ数×4
fp0-fp7 レジスタ数×12
fpcr/fpsr/fpiar レジスタ数×4
.defined. .defined.()
シンボルが定義されていれば-1、そうでなければ0
・二項演算子
* .mul. 乗算
/ .div. 除算
.mod. 剰余
>> .shr. 右へ論理シフト
<< .shl. 左へ論理シフト
.asr. 右へ算術シフト
+ .add. 加算
- .sub. 減算
== = .eq. 等しければ-1、等しくなければ0
!= <> .ne. 等しくなければ-1、等しければ0
< .lt. 左被演算子 < 右被演算子なら-1、そうでなければ0
<= .le. 左被演算子 <= 右被演算子なら-1、そうでなければ0
> .gt. 左被演算子 > 右被演算子なら-1、そうでなければ0
>= .ge. 左被演算子 >= 右被演算子なら-1、そうでなければ0
.<. .slt. 符号つき .lt.
.<=. .sle. 符号つき .le.
.>. .sgt. 符号つき .gt.
.>=. .sge. 符号つき .ge.
& .and. ビット単位 AND
| .or. ビット単位 OR
^ .xor. .eor. ビット単位 XOR
・演算子の優先順位
1. ()で囲まれた式(内側がより優先される)
2. 単項演算子
3. 乗算、除算、剰余、シフト
4. 加算、減算
5. 大小比較演算子
6. ビット単位 AND
7. ビット単位 OR、ビット単位 XOR
==============================================================================
・コメントの記述
; から行末まで
* から行末まで
ただし、* が式(現在のロケーションカウンタ)として解釈されない位置であること。
行頭の # から行末まで
.comment 疑似命令で指定された範囲
==============================================================================
・ローケーションカウンタシンボル
現在処理している行がはじまるローケーションカウンタの値がシンボル * に設定され
る。また、これからコードを出力しようとしているローケーションカウンタの値がシン
ボル $ に設定される。
==============================================================================
・@@ ローカルラベル
ソースコード中にいくつでも置けるラベルとして @@: を定義できる。@f でその位置以
降の最も近い @@: ラベル、@b でその位置以前の最も近い @@: ラベルを参照する。
@@b、@@f で二番目に近いラベル、@@@b、@@@f で三番目に近いラベル……のように、@
の数に応じて遠くの @@: ラベルを参照する。
・数字ローカルラベル
ソースコード中にいくつでも置けるラベルとして 1: ~ 9999: を定義できる。1f ~
9999f でその位置以降の、1b ~ 9999b でその位置以前の最も近い対応するローカルラ
ベルを参照する。
・擬似レジスタ OPC(optional PC)
ディスプレースメント付き PC 間接アドレッシング (d16,pc) で PC の代わりに指定で
きる。ディスプレースメントが16ビットで表現できなくなると、絶対ロングアドレッシ
ングに変更する。
コマンドラインで -b スイッチを指定すると、すべてのディスプレースメント付き PC
間接アドレッシングで PC の代わりに OPC を指定したものとして扱う。
==============================================================================
・JBRA/JBSR/JBcc 命令
それぞれ BRA/BSR/Bcc 命令と同じ処理を行うが、分岐先が16ビットオフセットで表現
できないか、サイズ .L を指定した場合は JMP/JSR 命令に変更する。JBcc は BNcc と
JMP 命令の2命令に変更する。
JBRA -> BRA、届かない場合は JMP
JBRA.S -> BRA.S
JBRA.W -> BRA.W
JBRA.L -> JMP
JBSR -> BSR、届かない場合は JSR
JBSR.S -> BSR.S
JBSR.W -> BSR.W
JBSR.L -> JSR
JBcc -> Bcc、届かない場合は BNcc + JMP
JBcc.S -> Bcc.S
JBcc.W -> Bcc.W
JBcc.L -> BNcc + JMP
コマンドラインで -b スイッチを指定すると、サイズ指定のないすべての BRA/BSR/Bcc
命令を JBRA/JBSR/JBcc 命令として扱う。
==============================================================================
・アセンブラ疑似命令:アセンブラ制御
.text テキストセクションの指定
書式 .text
.data データセクションの指定
書式 .data
.bss ブロックストレージセクションの指定
書式 .bss
機能 このセクションに確保したメモリ領域は実行ファイルのロード時に0で埋めら
れる。ただし、XConverter(CV.X)でX形式実行ファイルに変換した場合は削除
される。
.stack スタックセクションの指定
書式 .stack
.offset オフセット表の指定
書式 .offset <式>
.offsym 特定のシンボルを基準としたオフセット表の指定
書式 .offsym <式>[,<シンボル>]
機能 <シンボル> が <式> の値となるように初期値を設定してオフセット表を定義
する。<シンボル> 省略時は .offset <式> と同じ。.offsym 内で定義したシ
ンボルはほかの .offsym で上書きすることができる。
.include ソースコードの挿入
書式 .include <ファイル名>
機能 ファイルをソースコードに挿入する。マクロ内で使用した場合、ファイルはマ
クロ展開後に挿入される。
.comm コモンエリアの指定
書式 .comm <ラベル>,<式>
.end プログラムの終了指定
書式 .end <ラベル>
.org ロケーションカウンタの指定
書式 .org <式>
.comment コメント行の指定
書式 .comment <文字列>
.fail エラーの生成
書式 .fail <式>
.request リンク時のライブラリを指定
書式 .request <ファイル名>[,<ファイル名>…]
.cpu アセンブル対象 CPU の指定
.68000 ~ .68060
書式 .cpu <式>
.68000
.68010
.68020
.68030
.68040
.68060
.fpid 浮動小数点コプロセッサ ID の指定
書式 .fpid <式>
.rdata 相対セクションの宣言
.rldata
.rbbs
.rlbbs
.rstack
.rlstack
書式 .rdata
.rldata
.rbbs
.rlbbs
.rstack
.rlstack
.rcomm 相対コモンエリアの指定
.rlcomm
書式 .rcomm <ラベル>,<式>
.rlcomm <ラベル>,<式>
.pragma 最適化オペランドの指定
書式 .pragma <最適化指定オペランド>
機能 この機能は実装されておらず、指定しても無視される。
==============================================================================
・アセンブラ疑似命令:外部名指定
.globl グローバルシンボルの宣言
.global
書式 .globl <ラベル>[,<ラベル>…]
.global <ラベル>[,<ラベル>…]
機能 ソースコード中に<ラベル>が定義されていれば、それを外部定義名として宣言
する。そうでなければ外部参照名として宣言する。
.xdef 外部定義名の宣言
.public
.entry
書式 .xdef <ラベル>[,<ラベル>…]
.public <ラベル>[,<ラベル>…]
.entry <ラベル>[,<ラベル>…]
.xref 外部参照名の宣言
.extrn
.external
書式 .xref <ラベル>[,<ラベル>…]
.extrn <ラベル>[,<ラベル>…]
.external <ラベル>[,<ラベル>…]
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・アセンブラ疑似命令:シンボル値定義
.equ 不変シンボル値の定義
書式 <シンボル> .equ <式>
.set 可変シンボル値の定義
=
書式 <シンボル> .set <式>
<シンボル> = <式>
機能 シンボルに一時的な値を割りあてる。.set 以外で定義したシンボルも、.set
でエラーにならずに再定義できてしまうので注意すること。
.reg レジスタリストの定義
書式 <ラベル> .reg <レジスタリスト>
.fequ 浮動小数シンボルの定義
書式 <シンボル> .fequ[.<サイズ>] <浮動小数点実数>
機能 浮動小数点数シンボルを定義する。<浮動小数点実数> に内部表現を使用する
場合、サイズによって内部表現が変わるため <サイズ> は省略できない。
.fset 浮動小数シンボルへの代入
書式 <シンボル> .fset[.<サイズ>] <浮動小数点実数>
機能 浮動小数シンボルへ一時的な値を割り当てる。<浮動小数点実数> に内部表現
を使用する場合、サイズによって内部表現が変わるため <サイズ> は省略でき
ない。
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・アセンブラ疑似命令:マクロ制御
.macro マクロ定義の開始
書式 <マクロ名> .macro [<パラメータリスト>]
機能 マクロ定義を開始する。
命令(例: move)や疑似命令(例: if)と同名のマクロを定義するとマクロが優先
されるが、先頭に . を付けて命令(例: .move)や疑似命令(例: .if)を書けば
命令や疑似命令が優先される。
.local マクロ定義ブロック内の局所的シンボルの宣言
書式 .local <シンボル>[,<シンボル>…]
機能 マクロ定義ブロック内だけで局所的に有効なシンボルを宣言する。
局所的シンボルとして宣言されたシンボルはマクロ展開時に ?? からはじまる
シンボル名に置き換えられ、-d オプションによる外部定義からは除外される。
.endm マクロ定義の終了
書式 .endm
.exitm マクロ展開の打ち切り
書式 .exitm
.rept 繰り返し命令の設定
書式 .rept <式>
.irp 不定回の繰り返し設定
書式 .irp <仮引数>,<実引数>[,<実引数>…]
.irpc 文字の不定回の繰り返し設定
書式 .irpc <仮引数>,<文字列>
.sizem マクロのサイズ指定と引数の個数の受け取り
書式 .sizem <サイズのシンボル>[,<引数の個数のシンボル>]
機能 マクロ定義中に使うことで、マクロ呼び出し時に指定したオペレーションサイ
ズを <サイズのシンボル> に設定する。<引数の個数のシンボル> を指定した
場合はマクロ呼び出し時に指定した引数の個数をそのシンボルに設定する。こ
れらのシンボルは定義中のマクロ内でのみ有効な局所的シンボルとなる。
マクロ内にあるマクロ定義のなかで使うと、一番外側のマクロに指定されたサ
イズと引数の個数が設定される。
・@からはじまるシンボル名の局所化
マクロ内で @ からはじまるシンボルを定義すると、.local 疑似命令を使わなくても自
動的にマクロ定義ブロック内でのみ有効な局所的シンボルになる。
.local で宣言した局所的シンボルと同じく、マクロ展開時に ?? からはじまるシンボ
ル名に置き換えられ、-d オプションによる外部定義からは除外される。
・特殊記号(実引数)
マクロ展開、.irp 疑似命令での実引数に対して、!、<~>、% が特殊記号として使える。
!
直後の一文字を文字通りに認識する(, やスペースなどの文字の機能を失わせる)。
<~>
< と > で囲まれた文字列を文字通りに認識する。
%
直後に定数を持つシンボルの名前を置くと、その値を引数とする。直後の語がシン
ボルとして定義されていなかったり、定数でない場合はなにも行わない。
・特殊記号(パラメータ)
通常、文字列内はパラメータの置換対象ではないが、パラメータ名の先頭に & をつけ
ると置換対象になる。
また、引数のセパレータとして & が使用できる。文字列の外に置かれた & は取り除か
れたあとに置換の対象となる。マクロ内に & の文字そのものが必要な場合は && と記
述する。
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・アセンブラ疑似命令:データ出力・領域確保
.dc 定数の出力
書式 .dc[.<サイズ>] <式>[,<式>…]
機能 定数を出力する。それぞれの <式> は .dc に指定したサイズで出力されるが、
.dc.b/.dc.w/.dc.l の個々の <式> にサイズ .b/.w/.l を指定するとそのサイ
ズで出力する。
.dcb 定数ブロックの出力
書式 .dcb[.<サイズ>] <長さ>,<式>
.ds メモリ領域の確保
書式 .ds[.<サイズ>] <長さ>
.even 偶数バンダリの調整
書式 .even
機能 偶数バンダリの調整を行う。ロケーションカウンタが奇数の場合は $00 を出
力する。
.align アドレス境界の指定
書式 .align <境界値>[,<式>]
機能 アドレス境界を指定する。<境界値> には、2~256の範囲で2の累乗を指定する。
Human68k では実行ファイルは16の倍数のアドレスにロードされるので16より
大きい境界値指定には意味がない。
<式> にはアドレス境界を合わせるために出力するデータを、$0000~$ffff の
16ビットの値で指定する。<式> が省略された場合は、現在のセクションが
.text セクションなら $4e71(NOP の命令コード)、それ以外の場合には $0000
が使用される。
境界合わせはまず .even 疑似命令と同じ処理が行われてから、<式> の出力が
ワード単位で行われる。
リンカがセクション先頭のアドレス境界を合わせられるように、ソースファイ
ル中で最大の境界値がオブジェクトファイルに出力される。これは HAS.X と
hlk.x により拡張されたものだが、未対応のリンカでは単に使用されないラベ
ルとして扱われ無視される。具体的にはスタックセクションで
*ファイル名*:: = log2(<境界値>)
というラベルが定義されたかのような形式となっている。
HLK-ev、HLKX 以外のリンカではアドレス境界の整合が正しく行われないので
注意すること。
.quad アドレスの4バイト境界の指定
書式 .quad
機能 アドレスの4バイト境界を指定する。.align 4 と同じ。
.insert ファイル内容を埋め込む
書式 .insert <ファイル名>[,<オフセット>[,<サイズ>]] ...
機能 ファイルの内容をバイナリデータとして(.dc 疑似命令で指定したのと同じよ
うに)埋め込む。<オフセット> と <サイズ> を省略するとファイル全体を埋め
込む。<サイズ> を省略するか -1 を指定するとファイル末尾まで埋め込む。
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・アセンブラ疑似命令:条件つきアセンブリ
.if 条件つきアセンブル
.ifne
書式 .if <式>
.ifne <式>
機能 <式> が真のときアセンブルを実行する。
.iff 条件つきアセンブル
.ifeq
書式 .iff <式>
.ifeq <式>
機能 <式> が偽のときアセンブルを実行する。
.ifdef 条件つきアセンブル
書式 .ifdef <シンボル>
機能 シンボルが定義されているときアセンブルを実行する。
.ifndef 条件つきアセンブル
書式 .ifndef <シンボル>
機能 シンボルが定義されていないときアセンブルを実行する。
.elseif 条件つきアセンブル
.elif
書式 .elseif <式>
.elif <式>
機能 それ以前の条件つきアセンブルが実行されておらず、<式> が真のときアセン
ブルを実行する。
.else 条件つきアセンブル
書式 .else
機能 それ以前の条件つきアセンブルが実行されていない場合にアセンブルを実行す
る。
.endif 条件つきアセンブルの終了
.endc
書式 .endif
.endc
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・アセンブラ疑似命令:リスティング制御
.list アセンブルリストの出力
書式 .list
.nlist アセンブルリストの出力抑止
書式 .nlist
.page アセンブルリストの改頁
書式 .page
.title アセンブルリストのタイトルの指定
書式 .title <文字列>
.subttl アセンブルリストのサブタイトルの指定
書式 .subttl <文字列>
.lall マクロ行の出力
書式 .lall
.sall マクロ行の出力の抑止
書式 .sall
.width リストファイルの表示幅設定
書式 .width <式>
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・アセンブラ疑似命令:シンボリックデバッグ情報指定
.file ソースファイル名の出力指定
書式 .file "<ファイル名>"
.ln 行番号とロケーションの対応の出力指定
書式 .ln <行番号>[,<ロケーション値>]
.def シンボルテーブルエントリの作成
.endef
書式 .def <シンボル>
(属性を指定する疑似命令)
.endef
.val シンボルの値の指定
書式 .val <式>
.scl 記憶クラスの宣言
書式 .scl <式>
.type C 言語における型の宣言
書式 .type <式>
.tag タグ名の宣言
書式 .tag <タグ名>
.line 行番号の指定
書式 .line <式>
.size サイズの指定
書式 .size <式>
.dim 配列の指定
書式 .dim <式1>[,<式2>…]
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・アセンブラ疑似命令:別名定義
条件分岐命令
BT = BRA
BHS = BCC
BLO = BCS
BNZ = BNE
BZE = BEQ
JBT = JBRA
JBHS = JBCC
JBLO = JBCS
JBNZ = JBNE
JBZE = JBEQ
条件セット命令
SHS = SCC
SLO = SCS
SNZ = SNE
SZE = SEQ
条件ループ命令
DBHS = DBCC
DBLO = DBCS
DBNZ = DBNE
DBZE = DBEQ
条件トラップ命令
TRAPHS = TRAPCC
TRAPLO = TRAPCS
TRAPNZ = TRAPNE
TRAPZE = TRAPEQ
加減算命令
DEC.size = SUBQ.size #1
INC.size = ADDQ.size #1
CLR.W An = SUBA.W An,An
※上位ワードの値が$0000になるとは限らないので注意すること。
CLR.L An = SUBA.L An,An
条件の否定
Bcc/JBcc/DBcc/Scc/TRAPcc 命令のコンディションコード cc を Ncc と記述するこ
とにより、条件を逆にすることができる。
NCC = CS
NCS = CC
NEQ = NE
NF = T
NGE = LT
NGT = LE
NHI = LS
NHS = CS
NLE = GT
NLO = CC
NLS = HI
NLT = GE
NMI = PL
NNE = EQ
NNZ = EQ
NPL = MI
NT = F
NVC = VS
NVS = VC
NZE = NE
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・プレデファインシンボル
HAS060.Xでは -y/-y1 オプションを指定すると以下のシンボルが自動的に定義される。
CPU 現在のアセンブル対象の CPU
__HAS__ HAS.X のバージョン
__HAS060__ HAS060.X のバージョン
__DATE__ アセンブル開始時の日付
__TIME__ アセンブル開始時の時刻
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